鳥は、古くから人間の生活や文化に深く関わってきました。自由に空を飛ぶ姿、早朝のさえずり、群れをなす習性―これらの特徴は、英語圏の人々の想像力をかき立て、数多くのイディオムや表現を生み出してきました。ビジネスシーンでの成功を語る時、人間関係を説明する時、あるいは日常のちょっとした出来事を表現する時、ネイティブスピーカーたちは自然に「鳥」の表現を使います。これらのイディオムを知ることで、英語の会話がより豊かになり、ネイティブの感覚に一歩近づくことができるでしょう。本記事では、日常会話からビジネスまで幅広く使える15の「鳥」イディオムを、由来や使い方のコツとともに詳しくご紹介します。
The early bird catches the worm
意味:早起きは三文の徳
説明:17世紀のイギリスで生まれた表現で、ビジネスや日常生活で広く使われます。単に早起きを勧めるだけでなく、チャンスを逃さないために先手を打つ重要性を説いています。就職活動や商談、限定セールなど競争が伴う場面でよく用いられ、「準備と行動の早さが成功の鍵」というニュアンスを含みます。朝型人間を称賛する文化的背景も反映しており、ポジティブな励ましとして使われることが多い表現です。
例文:I got to the sale early and found some great deals. The early bird catches the worm!
訳:セールに早めに行って、掘り出し物を見つけた。早起きは三文の徳だね!
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Birds of a feather flock together
意味:類は友を呼ぶ
説明:16世紀から使われる古い諺で、同じ趣味や価値観を持つ人々が自然と集まる現象を表します。中立的な観察としても使えますが、時には否定的なニュアンスで「悪い仲間同士が集まる」という批判的な意味で用いられることもあります。社会学的な観点からも興味深い表現で、人間の集団形成の本能を鳥の習性に例えた洞察に富んだイディオムです。友人関係、職場のグループ、趣味のコミュニティなど、様々な場面で使えます。
例文:It’s no surprise they became best friends—birds of a feather flock together.
訳:彼らが親友になったのは驚きではない。類は友を呼ぶというからね。
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Kill two birds with one stone
意味:一石二鳥
説明:効率性を重視する現代社会で頻繁に使われる表現ですが、動物愛護の観点から”kill”という言葉を避け、”feed two birds with one scone”などの代替表現も提案されています。ビジネスシーンでは生産性向上の文脈でよく登場し、時間管理やマルチタスクを語る際の定番フレーズです。ただし、三つ以上の目的がある場合は使えないので注意が必要です。実用的で分かりやすいため、英語学習者にも人気の高いイディオムです。
例文:I can kill two birds with one stone by dropping off the package on my way to work.
訳:仕事に行く途中で荷物を届ければ、一石二鳥だ。
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A little bird told me
意味:風の便りで聞いた、小耳にはさんだ
説明:旧約聖書の「空の鳥がその声を伝える」という一節に由来する、遊び心のある表現です。情報源を明かしたくない時や、噂話を軽い調子で伝える時に使われます。友人や同僚との会話でよく登場し、ゴシップやサプライズパーティーの情報を匂わせる際に便利です。ただし、ビジネスの重要な場面では不適切とされ、カジュアルな会話に限定されます。童話のような可愛らしい響きで、会話を和やかにする効果があります。
例文:A little bird told me that you’re getting married. Congratulations!
訳:結婚するって小耳にはさんだよ。おめでとう!
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Free as a bird
意味:自由気まま
説明:制約や責任から解放された状態を表す詩的な表現で、ビートルズの同名曲でも有名です。退職、卒業、借金完済など、人生の転機で使われることが多く、開放感や喜びのニュアンスを強く含みます。”free as the wind”や”free as air”といった類似表現もありますが、”bird”を使った表現が最も一般的です。子供の無邪気さや、制限のない生き方を称賛する文脈でも用いられ、ポジティブで希望に満ちた印象を与えます。
例文:After retiring, he felt free as a bird and traveled the world.
訳:退職後、彼は自由気ままになって世界中を旅した。
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A bird in the hand is worth two in the bush
意味:確実なものは不確実なものより価値がある
説明:中世の鷹狩りの経験から生まれた、現実主義的な知恵を表す諺です。投資判断、就職活動、恋愛など、リスクを伴う選択場面でアドバイスとして使われます。冒険よりも安定を重視する保守的な考え方を示しますが、時には「チャレンジ精神の欠如」と批判されることも。完全な形で使われることが多く、省略すると意味が伝わりにくいため注意が必要です。人生の重要な決断を前にした人への助言として、説得力のある表現です。
例文:You should accept this job offer. A bird in the hand is worth two in the bush.
訳:この仕事のオファーを受けるべきだよ。確実なものは不確実なものより価値があるからね。
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Eat like a bird
意味:少食である
説明:実は鳥は体重に対して大量の食物を摂取する生き物ですが、その小さな体から連想されて「少食」の意味で使われる、科学的には正確でないイディオムです。主に女性や子供の食習慣を描写する際に用いられますが、健康的な食事を推奨する現代では使用頻度が減少傾向にあります。対義語は”eat like a horse”(大食い)で、動物を使った食事表現は英語に多数存在します。ダイエットや食欲不振の話題で登場することが多い表現です。
例文:She eats like a bird, just a few bites and she’s full.
訳:彼女は少食で、ほんの数口で満腹になる。
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Wild goose chase
意味:無駄な追跡、徒労に終わる探し物
説明:シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」で使われたことで広まった表現で、元々は16世紀の馬術競技に由来します。捕まえることが困難な野生のガチョウを追いかける無謀さから、見込みのない努力や時間の無駄を指します。探偵小説やミステリー映画でよく登場し、間違った手がかりを追う場面で使われます。ビジネスでは非効率なプロジェクトへの批判としても用いられ、フラストレーションのニュアンスを含む実用的な表現です。
例文:Looking for that lost ring turned out to be a wild goose chase.
訳:なくした指輪を探したが、結局徒労に終わった。
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Chicken out
意味:怖じ気づく、尻込みする
説明:鶏が臆病な動物とされることから生まれた、20世紀のアメリカで普及したカジュアルな表現です。スカイダイビング、告白、スピーチなど、勇気が必要な場面で恐怖に負けて諦める状況を描写します。主に口語で使われ、軽い自嘲や友人へのからかいの文脈で登場します。”chicken”は名詞で「臆病者」という意味もあり、”Don’t be a chicken!”(臆病者になるな!)という励ましの表現も一般的です。若者言葉としても定着している親しみやすいイディオムです。
例文:I was going to ask her out, but I chickened out at the last minute.
訳:彼女をデートに誘うつもりだったが、最後の瞬間に怖じ気づいてしまった。
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Nest egg
意味:蓄え、貯金
説明:農家が鶏に卵を産ませ続けるため、巣に偽の卵を置いた習慣に由来する、17世紀から使われる表現です。主に退職後の生活資金や将来の大きな出費に備えた貯蓄を指し、ファイナンシャルプランニングの文脈で頻繁に登場します。単なる貯金ではなく、「将来の安心のための蓄え」という目的意識を含むのが特徴です。投資や保険の話題でもよく使われ、経済的な安定を象徴する前向きなニュアンスを持つ実用的なビジネス英語表現です。
例文:They’ve been saving for years to build a nice nest egg for retirement.
訳:彼らは何年も貯金して、退職後のための立派な蓄えを作ってきた。
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Bird’s eye view
意味:鳥瞰図、全体像
説明:文字通り「鳥の目線から見た景色」を意味し、物理的な高所からの眺望と、比喩的な「全体を俯瞰する視点」の両方で使われます。ビジネスでは戦略立案やプロジェクト管理で「大局的な視点」を指し、建築や都市計画では実際の上空からの図面を表します。対義語は”worm’s eye view”(虫の目、地上からの視点)で、詳細重視と全体把握の対比を表現できます。GoogleマップやドローンMappingの普及で、より身近な表現になっています。
例文:From the top of the tower, we had a bird’s eye view of the entire city.
訳:タワーの頂上から、街全体を見渡すことができた。
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Fly the coop
意味:逃げ出す、家を出る
説明:鶏小屋(coop)から鶏が逃げ出す様子から生まれた、19世紀アメリカの農村部で使われ始めた表現です。親元からの独立、刑務所からの脱走、退屈な状況からの脱出など、制限された環境から自由になる場面で使われます。若者の自立を描写する際によく登場し、冒険心や自由への憧れといったポジティブなニュアンスを含むことが多いです。”coop”は今も「狭い場所」を意味するため、都会の狭いアパートからの引っ越しなどにも使えます。
例文:As soon as he turned 18, he flew the coop and moved to the city.
訳:18歳になるとすぐに、彼は実家を出て都会に引っ越した。
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Like a duck to water
意味:水を得た魚のように、すんなりと
説明:アヒルが生まれつき泳ぎが得意なことから、新しい環境や技術に自然に適応する才能を表します。日本語の「水を得た魚」と似た表現ですが、英語では”duck”を使うのが面白い文化の違いです。新入社員の活躍、子供の習い事、趣味の上達など、学習曲線が緩やかな状況を褒める際に使われます。”take to”という動詞とセットで使うのが一般的で、天性の才能や適性を強調するポジティブな表現として、教育やキャリアの場面で重宝されます。
例文:She took to coding like a duck to water and became an expert in no time.
訳:彼女はプログラミングをすんなりと習得し、あっという間に専門家になった。
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Swan song
意味:最後の作品、引退公演
説明:古代ギリシャの伝説で、普段は鳴かない白鳥が死の直前に美しい歌を歌うという言い伝えに由来します。生物学的には根拠がない迷信ですが、芸術家の遺作、アスリートの引退試合、政治家の最後の演説など、キャリアの集大成を表す格調高い表現として使われます。単なる「最後」ではなく、「有終の美」「華々しいフィナーレ」という美的なニュアンスを含み、文学や音楽評論で特に好まれる、ロマンティックで詩的なイディオムです。
例文:The legendary actor’s final film was a fitting swan song to his brilliant career.
訳:その伝説的な俳優の最後の映画は、輝かしいキャリアにふさわしい有終の美だった。
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For the birds
意味:くだらない、価値がない
説明:馬の糞に残った穀物を鳥が食べる様子から、「鳥の餌程度の価値しかない」という意味で1940年代のアメリカで生まれた俗語的表現です。仕事、アイデア、映画、商品など、あらゆるものへの否定的な評価に使えますが、やや古めかしい響きがあり、若者よりも中高年世代がよく使います。カジュアルな会話やインフォーマルな場面限定で、ビジネス文書では避けるべき表現です。不満や失望を率直に表現する、アメリカ英語特有の口語表現です。
例文:This job is for the birds. I’m looking for something better.
訳:この仕事はくだらない。もっと良いものを探しているんだ。
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こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。
