英語には、日常会話でよく使われる様々な表現やイディオムがあります。その中でも「空気(air)」に関連する表現は、驚くほど豊富で興味深いものばかりです。これらの表現は、文字通りの意味からは想像しにくい比喩的な意味を持つことが多く、英語のネイティブスピーカーでさえ、その由来や正確な使い方を知らないことがあります。「空気」という目に見えない存在だからこそ、感情の高ぶり、不確実性、神秘性、虚偽など、抽象的な概念を表現するのにぴったりなのです。ビジネスシーンからカジュアルな会話まで、これらのイディオムを使いこなせれば、あなたの英語表現力は格段にアップするでしょう。今回は、そんな「空気」に関連する英語の表現やイディオムを厳選してピックアップしました。それぞれの由来や使い方のコツも詳しく解説していきます!
Clear the air
意味:誤解を解消する
説明:この表現は、部屋の空気が淀んでいる時に窓を開けて新鮮な空気を入れる様子から来ています。人間関係でも同じで、緊張や誤解で「重苦しい雰囲気」がある時、率直に話し合うことで状況を改善します。ビジネスでも家庭でもよく使われ、特に「We need to clear the air」というフレーズが定番です。似た表現に「settle differences」がありますが、clear the airの方がより雰囲気の改善に焦点を当てています。
例文:We need to clear the air about the misunderstanding in yesterday’s meeting.
訳:昨日の会議での誤解について話し合って解決しましょう。
🎬映画のシーンで見る
Out of thin air
意味:突然に、どこからともなく
説明:「thin air(薄い空気)」は何もない空間を意味します。マジシャンが何もない空中から物を取り出すイメージから生まれた表現で、予期せず突然に何かが現れたり、作り出されたりする様子を表します。よく嘘や言い訳を「でっち上げる」という否定的な文脈で使われますが、アイデアが突然ひらめく場合など中立的な意味でも使えます。「appear」「materialize」「conjure up」などの動詞と一緒に使われることが多いのが特徴です。
例文:He made up an excuse out of thin air.
訳:彼は突然に言い訳をでっち上げた。
🎬映画のシーンで見る
Vanish into thin air
意味:跡形もなく消える
説明:「out of thin air」の逆バージョンで、何かが完全に消え去り、どこにも見つからない状態を劇的に表現します。マジックショーで物が消える様子が由来で、ミステリー小説や事件報道でよく使われます。単に「disappear」と言うより、突然性と完全性を強調したい時に効果的です。物だけでなく、人や機会、お金などあらゆるものに使えます。「vanish without a trace」も似た表現ですが、より痕跡が残らないことを強調します。
例文:The magician made the bird vanish into thin air.
訳:そのマジシャンは鳥を跡形もなく消し去った。
🎬映画のシーンで見る
Up in the air
意味:未決定の、不確定の
説明:空中に投げ上げられたボールが、どこに落ちるかわからない状態から来た表現です。計画や決定事項がまだ確定していない、宙ぶらりんの状態を表します。ビジネスシーンで頻繁に使われ、「still up in the air」という形が一般的です。「uncertain」や「undecided」よりも口語的で自然な響きがあります。注意点として、この表現は中立的で、必ずしも否定的な意味ではありません。むしろ柔軟性を保っているポジティブな文脈でも使えます。
例文:Our holiday plans are still up in the air.
訳:私たちの休暇の計画はまだ未定です。
🎬映画のシーンで見る
Castles in the air
意味:実現不可能な夢
説明:14世紀から使われている古い表現で、空中に城を建てることが物理的に不可能であることから、現実離れした夢や計画を指します。スペイン語の「castillos en el aire」も同じ意味で、ヨーロッパで広く使われてきました。「build castles in the air」という動詞形がよく使われ、夢見がちで実行力のない人を批判するニュアンスがあります。似た表現に「pie in the sky」がありますが、こちらはより口語的で、実現の可能性がより低い印象を与えます。
例文:He’s always building castles in the air and never takes action.
訳:彼はいつも実現不可能な夢ばかり描いて、行動に移さない。
🎬映画のシーンで見る
Walk on air
意味:大喜びする、舞い上がる
説明:極度の幸福感で、まるで重力から解放されて空中を歩いているような軽やかな気分を表現します。恋に落ちた時、大きな成功を収めた時、夢が叶った時など、特別な喜びの瞬間に使われます。現在完了形「have been walking on air」で使うことが多く、その幸せな状態が継続していることを示します。「on cloud nine」や「over the moon」も似た表現ですが、walk on airは身体的な軽さの比喩がより強く、視覚的にイメージしやすいのが特徴です。
例文:She’s been walking on air since she got the job offer.
訳:彼女はその仕事のオファーを受けてから、舞い上がっている。
🎬映画のシーンで見る
Air your dirty laundry
意味:私事を公にする
説明:昔、洗濯物を外に干していた時代、汚れた下着などを人目に晒すのは恥ずかしいことでした。そこから、私的な問題や家族の恥を公の場で話すことを指すようになりました。イギリスでは「wash your dirty linen in public」とも言います。ソーシャルメディア時代の今、特に重要な表現で、SNSで私生活を過度に暴露する行為を批判する時によく使われます。「in public」を付けると、公の場であることが強調され、より否定的なニュアンスになります。
例文:It’s not wise to air your dirty laundry in public.
訳:自分の私的な問題を公にするのは賢明ではありません。
🎬映画のシーンで見る
Full of hot air
意味:うそをつく、大げさなことを言う
説明:熱気球は熱い空気で膨らんでいるだけで中身がないことから、威勢は良くても内容が伴わない話をする人を指します。19世紀のアメリカで生まれた表現で、政治家の空虚な演説を批判する際によく使われました。現在でも、自慢話ばかりで実行力のない人や、根拠のない主張をする人を表現するのに最適です。単に「liar」と言うより、滑稽さや呆れた気持ちを含むニュアンスがあります。友人同士の軽い冗談としても使えます。
例文:Don’t listen to him; he’s full of hot air.
訳:彼の言うことを聞いてはいけません。彼は大げさなことばかり言っています。
🎬映画のシーンで見る
Air of mystery
意味:神秘的な雰囲気
説明:「air」には「雰囲気」という意味があり、「air of」に続けて様々な雰囲気を表現できます。mystery(神秘)以外にも、「air of confidence(自信に満ちた雰囲気)」「air of sadness(悲しげな雰囲気)」など応用範囲が広い便利な表現です。特にミステリー小説や映画のレビューでよく見かけます。人や場所、物事に漂う独特の雰囲気を詩的に表現したい時に効果的で、「mysterious atmosphere」よりも洗練された印象を与えます。
例文:There’s an air of mystery about the old mansion.
訳:その古い屋敷には神秘的な雰囲気が漂っています。
🎬映画のシーンで見る
Put on airs
意味:偉ぶる、高慢な態度をとる
説明:「air」には「気取った態度」という意味もあり、それを「着る(put on)」ことで、本来の自分以上に見せようとする虚栄心を表します。18世紀の上流階級の振る舞いから来た表現で、特に成金や新参者が背伸びして高級ぶる様子を皮肉る際に使われます。常に複数形「airs」を使うのがポイントです。「act superior」や「be pretentious」も似た意味ですが、put on airsは演技性と偽りの要素をより強調します。明確な批判を含む否定的表現なので使用には注意が必要です。
例文:She’s always putting on airs to impress her friends.
訳:彼女はいつも友人を感心させようと偉ぶっています。
🎬映画のシーンで見る
Take the air
意味:散歩する、外出する
説明:19世紀のビクトリア朝時代に人気だった表現で、健康のために外に出て新鮮な空気を吸うことを意味します。当時は都市部の空気汚染が深刻で、公園での散歩が健康法として推奨されていました。現代ではやや古風で文学的な響きがあり、日常会話では「go for a walk」の方が一般的です。ただし、優雅さや余裕のある雰囲気を演出したい時、あるいは時代物の小説や映画では今でも使われます。イギリス英語でより頻繁に見られる表現です。
例文:Let’s take the air in the park this afternoon.
訳:今日の午後、公園で新鮮な空気を吸いに行きましょう。
🎬映画のシーンで見る
Breathe the same air
意味:同じ環境にいる、同じ空間を共有する
説明:憧れの人や有名人と物理的に同じ空間にいることへの興奮を表現する、ファン文化でよく使われるフレーズです。文字通りには同じ空気を吸うという意味ですが、その人の存在を身近に感じられる特別な瞬間を強調します。「I can’t believe」と組み合わせて驚きや感動を表すことが多く、コンサートや握手会、講演会などでの体験を語る時に使われます。時には皮肉として、嫌いな人と同じ場所にいることへの不快感を表現する場合もあります。口語的でカジュアルな表現です。
例文:I can’t believe I’m breathing the same air as my favorite singer!
訳:私の好きな歌手と同じ空気を吸っているなんて信じられない!
🎬映画のシーンで見る
Clear as a bell
意味:非常に明瞭な、はっきりとした
説明:教会の鐘の音が遠くまで澄んで聞こえることから生まれた表現で、19世紀から使われています。音声、説明、記憶、視界など、様々なものの明瞭さを表現できます。「crystal clear」も似た意味ですが、clear as a bellの方がより聴覚的なイメージが強く、特に音質や発音の良さを褒める時に適しています。電話やビデオ通話の音質を表現する際にも便利です。「as clear as a bell」という完全な形でも、単に「clear as a bell」でも使えます。
例文:Her explanation was as clear as a bell.
訳:彼女の説明は非常に明快でした。
🎬映画のシーンで見る

こんにちは、ゆぶろぐです。
言葉には、辞書には載っていない「空気」があります。 「どんな表情で?」「どんなトーンで?」 そんな英語の「空気」ごと味わえるよう、フレーズと共に映画のワンシーンを紹介しています。あなたの英語学習が、もっとドラマチックなものになりますように。
本名、吉成雄一郎(よしなりゆういちろう)。株式会社リンガポルタ代表取締役社長。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。
